The Last Sunに向けてのスタンダードまとめ、その2です!

今回は先々週に行われたGPロサンゼルスの結果から先週行われたBMO、GPストックホルムの結果の流れを振り返ってみます。

少し間が空いてしまい申し訳ありませんでした。なので今更「赤単が出て来ました!強いですね!」と言うのもアレなので、今回はそのあたりは簡潔にまとめて、僕が現在のスタンダードで重要だと思う「先手後手の差」と「事故負け」について少し書いていきたいと思います。

まずはGP・BMO結果を。

10月18日‐19日 GPロサンゼルス 参加者1,766名

1位 赤緑モンスター
2位 赤単
3位 赤単
4位 アブザン・ミッドレンジ
5位 アブザン・アグロ
6位 マルドゥ・ミッドレンジ
7位 アブザン・アグロ
8位 アブザン・ミッドレンジ

9位 アブザン・ミッドレンジ
10位 アブザン・ミッドレンジ
11位 アブザン・ミッドレンジ
12位 ティムール・ミッドレンジ
13位 ジェスカイ・ウィンズ
14位 ジェスカイ・ウィンズ
15位 マルドゥ・ミッドレンジ
16位 アブザン・アグロ

プロツアーでジェスカイが人気、アブザンが優勝を飾った翌週のGP。4位から下ズラッと並ぶ氏族を抑えて赤緑モンスターと赤単がTOP3を埋めました。

12位のキブラー制作ティムール・ミッドレンジも注目を集めました。


10月25日‐26日 GPストックホルム 参加者1,043名

1位 ジェスカイ・ウィンズ
2位 ティムール・ミッドレンジ
3位 アブザン・ミッドレンジ
4位 緑単t黒信心
5位 赤単
6位 緑単t黒信心
7位 シディシウィップ
8位 ジェスカイ・ウィンズ

9位 シディシウィップ
10位 アブザン・ミッドレンジ
11位 赤白アグロ
12位 赤単
13位 マルドゥ・ミッドレンジ
14位 アブザン・ミッドレンジ
15位 マルドゥ・ミッドレンジ
16位 シディシウィップ

ジェスカイ・ウィンズが返り咲き。PTでも結果を出していた緑単t黒信心がTOP8に2人、唯一大きな結果を残していなかった氏族スゥルタイがシディシウィップというかたちでTOP16に3人を送り出す大勝。


Big Magic Open スタンダード 参加者394名

1位 アブザン・アグロ
2位 赤単
3位 ジェスカイ・ウィンズ
4位 ジェスカイの隆盛コンボ
5位 ジェスカイ・トークン
6位 マルドゥ・ミッドレンジ
7位 赤緑モンスター
8位 アブザン・アグロ

1位と8位のリストは違う点も多いので、TOP8にデッキタイプが8種類と言っても過言ではありません。それだけ拮抗した面白い環境ということですね。

【現在のスタンダードについて】

前提として挙げられるのは「3マナ以上のカードパワーがとても高い」「逆に2マナ以下の優秀なカードは限られている」ということ。

アブザンも緑信心も赤緑モンスターも《森の女人像》が入り、そこから《包囲サイ》や《世界を喰らう者、ポルクラノス》に分かれ、ジェスカイもマルドゥも《道の探求者》《稲妻の一撃》が入り、そこから《カマキリの乗り手》や《軍族の解体者》に分かれる、といったかんじ。

そして3マナ以上のカードは本当に強いので、 2ターン目に2マナで止まり、かつスペルを唱えられないとほぼ負け に直結します。従来であれば1ターンくらい土地が止まっても巻き返せることが多いですが、この環境ではかなり難しいです。場に出てくる生物が軒並み強いので、先に2枚並べられるとかなりのライフを失い、次のターンに3枚目の土地を引き、除去を撃っても残った生物にマウントを取られ続けてしまいます。

なので普段以上に事故らない構築 が必要になるかと思います。カードパワーは高いですが、基本除去は1:1交換なので引きムラを無くす意味でも占術ランドは有用ですし、BMO優勝リストのようにそもそも土地を24枚→25枚にするのも効果的かと思います。


そして無事にお互いが3マナ以上を確保していくと、そこからは「強いカードの応酬」です。ではその差し合いをどう制するか。

まず後手番は圧倒的に不利 ということを認識しなければいけません。少し極端な例になるかもしれませんが、お互い《ゴブリンの熟練扇動者》がハンドにあって除去はなかったとします。3マナで鏡打ちすると先手はトークン1体と1点のライフをこの時点で得するかたちで、さらにお互いの次のドローが除去だったとします。先手は除去してアタックで6点、後手番は本体を除去しても残ったトークン2体にまたライフを削られます。

つまり先手はある程度どのような組み合わせの初手でも強く戦えるが、後手番での強い初手は限られている ということです。そしてこの3マナ以上の差し合いを制する上で重要なのが2マナのカードです。

上の例も、もし後手番が《稲妻の一撃》を持っていたら、後手番が更地に《ゴブリンの熟練扇動者》でマウントを取れるので実質的に先手と後手を入れ替えている かたちになります。

なのでこの環境は2マナの除去や2マナで生物を展開してイニシアチブを握るアクションが強く、最近アブザンやティムールで《荒野の後継者》など2マナの採用率が上がっているのはこういった背景があるからだと思います。

先手後手での差が大きいことは サイドボーディングにもかなり影響が出てきます。例えば《思考囲い》、これは急所を抜ければ擬似的に先手と後手を入れ替えることができるカードなので後手の時は頼もしいカードですが、先手の時はそもそも先手後手を入れ替える必要がなく、相手のハンドに落としたいカードが2枚あり展開を阻害できない可能性や、長期戦になったときにトップデッキを強くすることを考慮してサイドアウトすることがあります。

こういったように相手のデッキとのゲームプランを見据えて、 先手後手でサイドボーディングを変える必要があると思います。また、そもそもサイドボードに《狩人狩り》や《頑固な否認》、《残忍な切断》など1ターンに2回行動ができるような軽いカードを採る準備も外せません。


メタゲームの流れとしてはPTで重めのアブザン・ミッドレンジが勝ち、どのデッキも2マナのアクションを意識していく中で、そもそも手数や速度の違う赤単と、多くのマナクリと2色特有のアンタップインの多さで高マナへのアクセスの良い赤緑モンスターがGPロサンゼルスを制しました。

そして2マナアクションが多く安定感抜群のアブザン・アグロがBMOを制し、軽いアクションを捌くには持って来いの《マグマの噴流》有するジェスカイ・ウィンズがGPストックホルムを制し、それなら最初の《森の女人像》《クルフィックスの狩猟者》《包囲サイ》のアブザン・ミッドレンジが強いところに戻るか…といったところでしょうか。


Tier1
アブザン・ミッドレンジ
ジェスカイ・ウィンズ

Tier1.5
アブザン・アグロ
赤単
マルドゥ・ミッドレンジ
ティムール・ミッドレンジ
赤緑モンスター
緑単t黒信心
シディシウィップ

Tier2
青黒コントロール
ジェスカイの隆盛コンボ

Tier1.5は感覚的にはTier1.2と言って良いくらい上と拮抗しています。どのデッキにもチャンスがある、そんな面白いスタンダード環境だと思います。


今回はこんなところで。また次回よろしくお願いします。

Cardshop-Nage http://nage.ocnk.net/
【スタンダード】

プロツアー「タルキール覇王譚」(10月13日)
http://coverage.mtg-jp.com/ptktk14/

GPロサンゼルス(10月19日)
http://magic.wizards.com/en/events/coverage/gpla14

GPストックホルム(10月26日)
http://magic.wizards.com/en/events/coverage/gpsto14

Big Magic Open(10月26日)
http://sanc.jp/bmo.html

【モダン】

モダン神(10月20日)
http://www.happymtg.com/category/coverage/archive2014/mdkami_challenge2/

コメント

えふ@FarEast
2014年11月2日5:56

とても参考になったのでリンクさせていただきます。ありがとうございます。

Nage
2014年11月2日9:32

>えふ@FarEastさん
ありがとうございます。今後とも記事を書いていく予定ですので、よろしくお願いします!

マリガンマスター
2014年11月2日14:26

素晴らしい記事をありがとうございます。大変参考になりました。リンクさせて頂きますので今後ともよろしくお願い申いたします。

Nage
2014年11月2日14:42

>マリガンマスターさん
ありがとうございます。少しでも参考になっていれば幸いです。
引き続きよろしくお願いいたします。

SHINE
2014年11月6日0:53

わかりやすく、とても参考になりました。
今後の記事も楽しみにしています。リンクさせていただきました。

Nage
2014年11月7日0:07

>SHINEさん
ありがとうございます。今後の記事も楽しんでいただけるよう頑張ります!

宮崎のカード屋さん
2014年11月27日0:35

とても参考になる記事で
ウロコを何枚も落としながら読ませていただきました。
「先手と後手の入れ替え」は「なるほど!」とうなりましたが
自分の2戦目先手率は圧倒的に高いので・・・・w

リンクさせていただきました。
今のスタンダード本当に面白いですよね。

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