スタンダードまとめ、その1-プロツアー結果から読み取る今後のメタゲーム-
2014年10月14日 TCG全般年末のThe Last Sunに向けてこれからスタンダードの記事を書いていきたいと思います。(なので時々モダンも挟むかと思います)The Last Sunに向けてお役に立てる内容になるよう頑張りますので、よろしくお願い致します。
まずはThe Last Sunまでのスケジュールを確認してみましょう。
10月18日‐19日 GPロサンゼルス(スタン)
10月25日‐26日 GPストックホルム(スタン)
10月26日 Big Magic Open(スタン)
11月1日‐2日 GPサンティアゴ(スタン)
11月15日‐16日 GPマドリード(モダン)
11月29日‐30日 GPサンアントニオ(モダン)
12月2-3日 世界選手権(スタン・モダン)
12月13日‐14日 GPミラノ(モダン)
12月20日‐21日 The Last Sun
メタゲームを動かす大きなイベントはこんなところでしょうか。スタン・モダンともにGPが充実しているので、これから2ヶ月のメタゲームの推移が楽しみですね。
それでは第1回目となる今回はプロツアー『タルキール覇王譚』の結果を詳しく見て、今後のメタゲームについて考えたいと思います。
まずは公式で上がっていたスタンダード構築10回戦で21点(7勝)以上の成績を記録したプレイヤーのデッキリストをデッキタイプごとにまとめてみました。
15人(31.2%) ジェスカイ・ウィンズ
11人(22.9%) アブザン・ミッドレンジ
4人(8.3%) 青黒コントロール
3人(6.2%) 《書かれざるものの視認》デッキ
2人(4.1%) ジェスカイの隆盛コンボ
2人 アブザン・アグロ
2人 赤白トークン
2人 黒緑信心
7人(14.5%) その他
主要のデッキタイプをレシピを上げながら一つずつ見ていきたいと思います。
・ジェスカイ・ウィンズ
今回スタンダード部門で一番の成績(8-1-1)を残したのは殿堂プレイヤーBen Starkが操るこのジェスカイ・ウィンズでした。ちなみに世界選手権優勝のShahar Shenharも同じレシピを使用しています。
特徴はメインに積まれた《無効化》ですね。これはかなり脱帽でした。
ジェスカイ・ウィンズに強いカードの代表として《包囲サイ》があります。火力が多いので焼けないタフネス5とライフゲインはどちらも突き刺さります。これの対策を考えると
《停止の場》・・・クルフィックスも対処できるのは偉いが、ライフゲインが阻止できない。同系も《カマキリの乗り手》以外触れない。
《軽蔑的な一撃》・・・ライフゲインもさせないが、ジェスカイ・ウィンズ同系で消せるスペルが少ない。
この2種が一般的ですが、どちらもメインには取りにくい。《無効化》だとライフゲインもさせない&ジェスカイ・ウィンズ同系の生物に撃てるのでメインに取りやすい《包囲サイ》対策かと思います。現スタンは2マナ以下のスペルが弱い傾向にあるので、後手番のときにそこを埋めてくれるのも高評価ですね。
・アブザン・ミッドレンジ
今回のプロツアーを制したのはこのアブザンミッドレンジ。優勝者のAri Laxは構築10回戦を7-1-2しているのでシングルも合わせると10-1-2。さらに全く同じレシピを使った方があと2人7勝以上を記録しているので、デッキ的にも今回の勝ち組かと思います。
今後のスタンダードはこのデッキと渡り合えることが最低条件になりますね。
低マナ域の《思考囲い》を《羊毛鬣のライオン》にして、殴れる生物を増やすことで《風番いのロック》を3~4枚がっつり積んでいるレシピも多くありました。速いデッキが多いときは《思考囲い》が弱く、《風番いのロック》のゲインが強いのでそちらのほうが良いでしょう。
また、今回の結果でジェスカイ・ウィンズのサイドには《停止の場》ががっつり積まれることが一般的になりそうなので、これに触れるカードも増やしたいですね。一番強いのは《カマキリの乗り手》まで対処できる《異端の輝き》かと思います。もし隆盛コンボが幅を利かせているようならインスタントで動ける《消去》系が良いですね。
逆にジェスカイ・ウィンズ側は割られないように《復仇》等、別のカードを検討したほうがいいかもしれません。
・青黒コントロール
日本の渡辺雄也選手とTOP8をかけて最終戦を戦ったOwen Turtenwaldが使用していた青黒コントロール。Owenの他にも同チーム所属のAndrew Cuneoが同じレシピで7-2-1の成績を収めているので、デッキの強さは本物でしょう。今回唯一のコントロール枠です。
《危険な櫃》は出したターンこそフルタップになっても、返しにPW含めて何が出ていようと全部流せる&ソーサリーのラスと違ってカウンターも構えやすい良カード。《予知するスフィンクス》や《羊毛鬣のライオン》など普通の除去では対処し辛いところも補えます。先に紹介した2つのデッキに《無効》や《霊気のほころび》が入っているのはこのカードを睨んでのことだと思います。
フィニッシャーは《真珠湖の古きもの》。これまたカウンターを構えやすい瞬速持ちで、仮にフルタップで出してインスタント除去を合わせられても避けれる回避能力付き。土地を3枚戻すのは状況に応じて占術ランドやゲインできるランドを選ぶことでデメリットにメリットを付随させられますね。
・《書かれざるものの視認》デッキ
今回のプロツアーで殿堂顕彰を受けた三原槙仁選手が持ち込んだのは《書かれざるものの視認》が4枚入った緑単t黒信心。三原選手はスタンダード部門8勝2敗、さらにほぼ同じレシピを使ったGaudenis Vidugirisも8勝2敗とかなりの好成績を残しており、公式ではアブザン・ミッドレンジに部類されてしまっていますが、台湾代表Tzu-Ching Kuoのデッキも《書かれざるものの視認》が4枚入ったアブザンでした。
すでに周知の事実かと思いますが《女王スズメバチ》はジェスカイ・ウィンズ、アブザン・ミッドレンジともに出せば相手の生物の攻撃はほぼ完全にシャットアウトできるカードです。ネックは7マナという重さなのですが《書かれざるものの視認》で捲れると1マナ軽く出せていることになりますし、獰猛で撃てれば《破滅喚起の巨人》や《開花の幻霊》もかなりの強さになります。
また、《書かれざるものの視認》で墓地に落ちたカードも《エレボスの鞭》で無駄にしない構成がとても好感を持てます。サイズが大きいのでライフリンクも強いですし、ネックはダブルシンボルですが《森の女人像》に加えて1つ黒マナを引ければ《旅するサテュロス》からも黒が出るので安定していると思います。
TOP8にはいないデッキタイプのため今のところ注目度は高くありませんが、日本ではプロツアーの前週に行われたLMC Championshipsで優勝を飾っていますし、プロツアーもスタンダード部門だけで見るとかなりの勝率です。今後要注目のデッキだと思うので、使ってみるもよし、使わないなら対策すべしってところですかね。
・ジェスカイの隆盛コンボ
コンボが発見されてからスタンダード・モダンともに話題になった《ジェスカイの隆盛》。モダンはかなり強力ですが、スタンダードは必要なパーツも多くトーナメントシーンでの活躍は見込めるのか?…と思っていた時期が私にもありました。
TOP8のLee Shi Tianの他にも上記のリストを使用したEric Froehlichが成績優秀者デッキリストに入っており、しっかりと結果を残してきました。
2人のレシピの違いをあげると
TOP8のLee Shi Tianのレシピ
・メインカラーは緑青赤の3色にタッチ白
・コンボパーツは《ドラゴンのマントル》。《苦しめる声》もありハンドの入れ替えがしやすい。
・無限強化の攻撃が通らないときの勝ち手段は《世界を目覚めさせる者、ニッサ》のトランプル能力
Eric Froehlichのレシピ
・メインカラーは緑青の2色にタッチ赤白
・コンボパーツは《霊体のヤギ角》。色マナサポートも兼任。
・《テイガムの策謀》等墓地にカードを落とし《時を越えた探索》と《宝船の巡航》でのドローサポートを行う
・無限強化の攻撃が通らないときの勝ち手段は《群の祭壇》によるライブラリーアウト
こんなところでしょうか。このデッキが成立しているのも、ここまで上げた青いデッキ全てに入っている《時を越えた探索》のおかげなのかもしれません。
アブザン・アグロ
最後に紹介するのはアブザンはアブザンでもミッドレンジとは一線を画すこのデッキ。
実はこのデッキ、KTK発売前にすでに生まれていました。製作者は前環境を築いた黒単信心の生みの親であり、先日のPTQも突破した「みつひで」ことイトウコウエイさん。
生物もスペルの選択も違いは《真面目な訪問者、ソリン》か《エレボスの鞭》かくらいでほぼ全く同じ。スポイラーを見ただけで環境を想定し、プロツアーTOP8のレシピを作り上げるというプロも真っ青になりそうなセンス。凄まじいですね。
本人の言葉を借りて言うならこのデッキの制作過程は
想定する環境
・3~4マナの生物が強い
・PWも強い
・2マナ除去が弱く、3マナ除去が強い
で、2マナの強い生物でマウントを取ることを念頭に作られたそうです。
実際まわしてみると《ラクシャーサの死与え》というカードの強さに驚きました。回数制限のないパンプ能力は地上での戦闘ではほぼ負けないと書いてあるのと同意で、出してからずっと殴り続けられる感覚です。押されていて守るときもパンプの他に再生まで付いてるのでかなり優秀で、マナが伸びれば通したら死ぬフィニッシャーにもなり得ます。とても2マナとは思えないスペックですね。
アブザン・ミッドレンジは序盤がマナクリや《クルフィックスの狩猟者》なので《包囲サイ》のゲインは嬉しくてもダメージを与えるほうはそこまで大きな働きをしないこともあるかと思いますが、序盤から攻めるこのデッキではダメージはもちろん、ライフルーズをしながら攻めることもあるので相手が攻めてこないデッキでもゲインが有効に働きます。ただでさえ強力な《包囲サイ》を一番うまく使えているデッキになるかと思います。
以上、スタンダードのメタゲームは
Tier1
アブザン・ミッドレンジ
ジェスカイ・ウィンズ
Tier2
青黒コントロール
《書かれざるものの視認》デッキ
《ジェスカイの隆盛》コンボ
アブザン・アグロ
から始まります。The Last Sunまでにどういった変化が起きるのか、私自身楽しみにしながら記事を書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
Cardshop-Nage http://nage.ocnk.net/
まずはThe Last Sunまでのスケジュールを確認してみましょう。
10月18日‐19日 GPロサンゼルス(スタン)
10月25日‐26日 GPストックホルム(スタン)
10月26日 Big Magic Open(スタン)
11月1日‐2日 GPサンティアゴ(スタン)
11月15日‐16日 GPマドリード(モダン)
11月29日‐30日 GPサンアントニオ(モダン)
12月2-3日 世界選手権(スタン・モダン)
12月13日‐14日 GPミラノ(モダン)
12月20日‐21日 The Last Sun
メタゲームを動かす大きなイベントはこんなところでしょうか。スタン・モダンともにGPが充実しているので、これから2ヶ月のメタゲームの推移が楽しみですね。
それでは第1回目となる今回はプロツアー『タルキール覇王譚』の結果を詳しく見て、今後のメタゲームについて考えたいと思います。
まずは公式で上がっていたスタンダード構築10回戦で21点(7勝)以上の成績を記録したプレイヤーのデッキリストをデッキタイプごとにまとめてみました。
15人(31.2%) ジェスカイ・ウィンズ
11人(22.9%) アブザン・ミッドレンジ
4人(8.3%) 青黒コントロール
3人(6.2%) 《書かれざるものの視認》デッキ
2人(4.1%) ジェスカイの隆盛コンボ
2人 アブザン・アグロ
2人 赤白トークン
2人 黒緑信心
7人(14.5%) その他
主要のデッキタイプをレシピを上げながら一つずつ見ていきたいと思います。
・ジェスカイ・ウィンズ
4 《溢れかえる岸辺》
4 《神秘の僧院》
4 《シヴの浅瀬》
2 《戦場の鍛冶場》
2 《島》
2 《平地》
2 《啓蒙の神殿》
2 《天啓の神殿》
1 《マナの合流点》
1 《山》
-土地(24)-
4 《道の探求者》
4 《ゴブリンの熟練扇動者》
4 《カマキリの乗り手》
-クリーチャー(12)-
4 《稲妻の一撃》
4 《マグマの噴流》
3 《無効化》
4 《ジェスカイの魔除け》
4 《かき立てる炎》
2 《龍語りのサルカン》
3 《時を越えた探索》
-呪文(24)-
2 《無効》
2 《消去》
4 《停止の場》
2 《軽蔑的な一撃》
2 《否認》
3 《オレスコスの王、ブリマーズ》
-サイドボード(15)-
今回スタンダード部門で一番の成績(8-1-1)を残したのは殿堂プレイヤーBen Starkが操るこのジェスカイ・ウィンズでした。ちなみに世界選手権優勝のShahar Shenharも同じレシピを使用しています。
特徴はメインに積まれた《無効化》ですね。これはかなり脱帽でした。
ジェスカイ・ウィンズに強いカードの代表として《包囲サイ》があります。火力が多いので焼けないタフネス5とライフゲインはどちらも突き刺さります。これの対策を考えると
《停止の場》・・・クルフィックスも対処できるのは偉いが、ライフゲインが阻止できない。同系も《カマキリの乗り手》以外触れない。
《軽蔑的な一撃》・・・ライフゲインもさせないが、ジェスカイ・ウィンズ同系で消せるスペルが少ない。
この2種が一般的ですが、どちらもメインには取りにくい。《無効化》だとライフゲインもさせない&ジェスカイ・ウィンズ同系の生物に撃てるのでメインに取りやすい《包囲サイ》対策かと思います。現スタンは2マナ以下のスペルが弱い傾向にあるので、後手番のときにそこを埋めてくれるのも高評価ですね。
・アブザン・ミッドレンジ
4 《砂草原の城塞》
4 《疾病の神殿》
4 《吹きさらしの荒野》
3 《森》
2 《コイロスの洞窟》
2 《ラノワールの荒原》
2 《平地》
1 《マナの合流点》
1 《静寂の神殿》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
-土地(24)-
2 《エルフの神秘家》
4 《森の女人像》
4 《クルフィックスの狩猟者》
4 《包囲サイ》
2 《風番いのロック》
-クリーチャー(16)-
4 《思考囲い》
4 《アブザンの魔除け》
3 《英雄の破滅》
2 《真面目な訪問者、ソリン》
2 《完全なる終わり》
2 《英雄の導師、アジャニ》
3 《太陽の勇者、エルズペス》
-呪文(20)-
3 《胆汁病》
1 《霊気のほころび》
3 《悲哀まみれ》
2 《残忍な切断》
2 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》
1 《対立の終結》
1 《リリアナ・ヴェス》
1 《砂塵破》
1 《集団の石灰化》
-サイドボード(15)-
今回のプロツアーを制したのはこのアブザンミッドレンジ。優勝者のAri Laxは構築10回戦を7-1-2しているのでシングルも合わせると10-1-2。さらに全く同じレシピを使った方があと2人7勝以上を記録しているので、デッキ的にも今回の勝ち組かと思います。
今後のスタンダードはこのデッキと渡り合えることが最低条件になりますね。
低マナ域の《思考囲い》を《羊毛鬣のライオン》にして、殴れる生物を増やすことで《風番いのロック》を3~4枚がっつり積んでいるレシピも多くありました。速いデッキが多いときは《思考囲い》が弱く、《風番いのロック》のゲインが強いのでそちらのほうが良いでしょう。
また、今回の結果でジェスカイ・ウィンズのサイドには《停止の場》ががっつり積まれることが一般的になりそうなので、これに触れるカードも増やしたいですね。一番強いのは《カマキリの乗り手》まで対処できる《異端の輝き》かと思います。もし隆盛コンボが幅を利かせているようならインスタントで動ける《消去》系が良いですね。
逆にジェスカイ・ウィンズ側は割られないように《復仇》等、別のカードを検討したほうがいいかもしれません。
・青黒コントロール
6 《島》
5 《沼》
4 《陰鬱な僻地》
4 《汚染された三角州》
4 《欺瞞の神殿》
1 《血染めのぬかるみ》
1 《進化する未開地》
1 《光輝の泉》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
-土地(27)-
2 《真珠湖の古きもの》
-クリーチャー(2)-
3 《思考囲い》
4 《胆汁病》
2 《軽蔑的な一撃》
4 《解消》
4 《英雄の破滅》
4 《危険な櫃》
3 《ジェイスの創意》
2 《残忍な切断》
1 《霊気渦竜巻》
4 《時を越えた探索》
-呪文(31)-
1 《思考囲い》
3 《否認》
2 《ファリカの療法》
1 《軽蔑的な一撃》
4 《悲哀まみれ》
4 《ジョルベイの闇潜み》
-サイドボード(15)-
日本の渡辺雄也選手とTOP8をかけて最終戦を戦ったOwen Turtenwaldが使用していた青黒コントロール。Owenの他にも同チーム所属のAndrew Cuneoが同じレシピで7-2-1の成績を収めているので、デッキの強さは本物でしょう。今回唯一のコントロール枠です。
《危険な櫃》は出したターンこそフルタップになっても、返しにPW含めて何が出ていようと全部流せる&ソーサリーのラスと違ってカウンターも構えやすい良カード。《予知するスフィンクス》や《羊毛鬣のライオン》など普通の除去では対処し辛いところも補えます。先に紹介した2つのデッキに《無効》や《霊気のほころび》が入っているのはこのカードを睨んでのことだと思います。
フィニッシャーは《真珠湖の古きもの》。これまたカウンターを構えやすい瞬速持ちで、仮にフルタップで出してインスタント除去を合わせられても避けれる回避能力付き。土地を3枚戻すのは状況に応じて占術ランドやゲインできるランドを選ぶことでデメリットにメリットを付随させられますね。
・《書かれざるものの視認》デッキ
6 《森》
4 《ラノワールの荒原》
4 《ニクスの祭殿、ニクソス》
4 《疾病の神殿》
3 《吹きさらしの荒野》
1 《沼》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
-土地(23)-
4 《エルフの神秘家》
4 《森の女人像》
4 《旅するサテュロス》
4 《クルフィックスの狩猟者》
4 《世界を喰らう者、ポルクラノス》
3 《開花の幻霊》
4 《破滅喚起の巨人》
4 《女王スズメバチ》
-クリーチャー(31)-
2 《エレボスの鞭》
4 《書かれざるものの視認》
-呪文(6)-
2 《思考囲い》
2 《胆汁病》
3 《再利用の賢者》
1 《苦悶の神、ファリカ》
3 《ナイレアの信奉者》
3 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》
1 《高木の巨人》
-サイドボード(15)-
今回のプロツアーで殿堂顕彰を受けた三原槙仁選手が持ち込んだのは《書かれざるものの視認》が4枚入った緑単t黒信心。三原選手はスタンダード部門8勝2敗、さらにほぼ同じレシピを使ったGaudenis Vidugirisも8勝2敗とかなりの好成績を残しており、公式ではアブザン・ミッドレンジに部類されてしまっていますが、台湾代表Tzu-Ching Kuoのデッキも《書かれざるものの視認》が4枚入ったアブザンでした。
すでに周知の事実かと思いますが《女王スズメバチ》はジェスカイ・ウィンズ、アブザン・ミッドレンジともに出せば相手の生物の攻撃はほぼ完全にシャットアウトできるカードです。ネックは7マナという重さなのですが《書かれざるものの視認》で捲れると1マナ軽く出せていることになりますし、獰猛で撃てれば《破滅喚起の巨人》や《開花の幻霊》もかなりの強さになります。
また、《書かれざるものの視認》で墓地に落ちたカードも《エレボスの鞭》で無駄にしない構成がとても好感を持てます。サイズが大きいのでライフリンクも強いですし、ネックはダブルシンボルですが《森の女人像》に加えて1つ黒マナを引ければ《旅するサテュロス》からも黒が出るので安定していると思います。
TOP8にはいないデッキタイプのため今のところ注目度は高くありませんが、日本ではプロツアーの前週に行われたLMC Championshipsで優勝を飾っていますし、プロツアーもスタンダード部門だけで見るとかなりの勝率です。今後要注目のデッキだと思うので、使ってみるもよし、使わないなら対策すべしってところですかね。
・ジェスカイの隆盛コンボ
4 《開拓地の野営地》
4 《マナの合流点》
4 《吹きさらしの荒野》
4 《ヤヴィマヤの沿岸》
1 《溢れかえる岸辺》
1 《森》
1 《島》
1 《平地》
1 《シヴの浅瀬》
-土地(21)-
4 《爪鳴らしの神秘家》
4 《森の女人像》
2 《サテュロスの道探し》
2 《旅するサテュロス》
-クリーチャー(12)-
4 《撤回のらせん》
1 《群の祭壇》
1 《白鳥の歌》
4 《神々との融和》
3 《テイガムの策謀》
4 《霊体のヤギ角》
4 《ジェスカイの隆盛》
4 《時を越えた探索》
2 《宝船の巡航》
-呪文(27)-
3 《白鳥の歌》
2 《消去》
2 《稲妻の一撃》
2 《否認》
1 《サテュロスの道探し》
3 《スズメバチの巣》
2 《龍爪のスーラク》
-サイドボード(15)-
コンボが発見されてからスタンダード・モダンともに話題になった《ジェスカイの隆盛》。モダンはかなり強力ですが、スタンダードは必要なパーツも多くトーナメントシーンでの活躍は見込めるのか?…と思っていた時期が私にもありました。
TOP8のLee Shi Tianの他にも上記のリストを使用したEric Froehlichが成績優秀者デッキリストに入っており、しっかりと結果を残してきました。
2人のレシピの違いをあげると
TOP8のLee Shi Tianのレシピ
・メインカラーは緑青赤の3色にタッチ白
・コンボパーツは《ドラゴンのマントル》。《苦しめる声》もありハンドの入れ替えがしやすい。
・無限強化の攻撃が通らないときの勝ち手段は《世界を目覚めさせる者、ニッサ》のトランプル能力
Eric Froehlichのレシピ
・メインカラーは緑青の2色にタッチ赤白
・コンボパーツは《霊体のヤギ角》。色マナサポートも兼任。
・《テイガムの策謀》等墓地にカードを落とし《時を越えた探索》と《宝船の巡航》でのドローサポートを行う
・無限強化の攻撃が通らないときの勝ち手段は《群の祭壇》によるライブラリーアウト
こんなところでしょうか。このデッキが成立しているのも、ここまで上げた青いデッキ全てに入っている《時を越えた探索》のおかげなのかもしれません。
アブザン・アグロ
1 《平地》
2 《森》
4 《吹きさらしの荒野》
4 《砂草原の城塞》
4 《コイロスの洞窟》
1 《静寂の神殿》
2 《ラノワールの荒原》
4 《疾病の神殿》
2 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
-土地(24)-
4 《羊毛鬣のライオン》
4 《ラクシャーサの死与え》
2 《荒野の後継者》
4 《責め苦の伝令》
3 《先頭に立つもの、アナフェンザ》
4 《包囲サイ》
-クリーチャー(21)-
4 《思考囲い》
1 《潰瘍化》
4 《英雄の破滅》
3 《アブザンの魔除け》
3 《真面目な訪問者、ソリン》
-呪文(15)-
2 《風番いのロック》
2 《蔑み》
2 《消去》
3 《胆汁病》
3 《悲哀まみれ》
1 《エレボスの鞭》
1 《英雄の導師、アジャニ》
1 《信者の沈黙》
-サイドボード(15)-
最後に紹介するのはアブザンはアブザンでもミッドレンジとは一線を画すこのデッキ。
実はこのデッキ、KTK発売前にすでに生まれていました。製作者は前環境を築いた黒単信心の生みの親であり、先日のPTQも突破した「みつひで」ことイトウコウエイさん。
生物もスペルの選択も違いは《真面目な訪問者、ソリン》か《エレボスの鞭》かくらいでほぼ全く同じ。スポイラーを見ただけで環境を想定し、プロツアーTOP8のレシピを作り上げるというプロも真っ青になりそうなセンス。凄まじいですね。
本人の言葉を借りて言うならこのデッキの制作過程は
想定する環境
・3~4マナの生物が強い
・PWも強い
・2マナ除去が弱く、3マナ除去が強い
で、2マナの強い生物でマウントを取ることを念頭に作られたそうです。
実際まわしてみると《ラクシャーサの死与え》というカードの強さに驚きました。回数制限のないパンプ能力は地上での戦闘ではほぼ負けないと書いてあるのと同意で、出してからずっと殴り続けられる感覚です。押されていて守るときもパンプの他に再生まで付いてるのでかなり優秀で、マナが伸びれば通したら死ぬフィニッシャーにもなり得ます。とても2マナとは思えないスペックですね。
アブザン・ミッドレンジは序盤がマナクリや《クルフィックスの狩猟者》なので《包囲サイ》のゲインは嬉しくてもダメージを与えるほうはそこまで大きな働きをしないこともあるかと思いますが、序盤から攻めるこのデッキではダメージはもちろん、ライフルーズをしながら攻めることもあるので相手が攻めてこないデッキでもゲインが有効に働きます。ただでさえ強力な《包囲サイ》を一番うまく使えているデッキになるかと思います。
以上、スタンダードのメタゲームは
Tier1
アブザン・ミッドレンジ
ジェスカイ・ウィンズ
Tier2
青黒コントロール
《書かれざるものの視認》デッキ
《ジェスカイの隆盛》コンボ
アブザン・アグロ
から始まります。The Last Sunまでにどういった変化が起きるのか、私自身楽しみにしながら記事を書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
Cardshop-Nage http://nage.ocnk.net/
プロツアー「タルキール覇王譚」(10月13日)
(http://coverage.mtg-jp.com/ptktk14/)
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