久しぶりのスタンダード考察です。今回は簡潔にメタゲームの整理と黒単同系のサイドボーディングについてです。

まずはメタゲーム。テーロス発売から約1ヶ月半。ここまでの推移は

発売前:《羊毛鬣のライオン/Fleecemane Lion》が加入したセレズニアとパーツの落ちないエスパーコンが有力。

発売後のSCG:《モーギスの狂信者/Fanatic of Mogis》を擁する赤単が優勝。

プロツアー:青単信心の登場と優勝。また多くのデッキに《ニクスの祭殿、ニクソス/Nykthos, Shrine to Nyx》が採用され「信心」というキーワードの強さが一気に浸透する。

その後のGP:日本で生まれたみつひで黒単からメタゲームの変更を受け《生命散らしのゾンビ/Lifebane Zombie》を《夜帷の死霊/Nightveil Specter》に変えた黒単の優勝。他トップ8は青単、エスパーコン、グルール。

さらにその後のGP:完全なメタ外からメイン《向こう見ずな技術/Madcap Skills》4のラクドスアグロの優勝。その他トップ8には《波使い/Master of Waves》が16枚、エスパーコン、赤単t白信心、グルール。

といった流れでした。

以上を踏まえメタゲームを整理すると

Tier1
青単・黒単

Tier1.5
エスパーコントロール・赤単(純正やt白含む)

Tier2
ラクドスアグロ・グルール

以下緑単t赤(三原グルール)・白黒コン・ナヤ・オロスコンなど

といったところでしょうか。

上の4つは相性が分かりやすく
青単がグー、赤単がチョキ、黒単がパーで、どれにでも勝ちうるが負けうるエスパーコントロールがいる状態。

ラクドスアグロはかなり黒単メタ。しかし青単だけでなく赤単にも入りうる《凍結燃焼の奇魔/Frostburn Weird》があまりにもきついのでこの位置。グルールは草の根ではあまり多くないものの、GPではしっかりと結果を残しているのでここに。これは《ニクスの祭殿、ニクソス/Nykthos, Shrine to Nyx》が入っていないやつですね。

とにかく草の根は黒単が多い印象。単純なデッキの強さが一番だと思うので納得ではあります。青単は個々のパーツは少なからず微妙なものがあるものの、一度《海の神、タッサ/Thassa, God of the Sea》機能し始めると、他のデッキを全く寄せ付けない強さがあります。

この2つがトップメタ。メインがもうほぼ固定されているのも安定して強いことを示していると思います。

エスパーコンと赤単もこれと同等の強さはあるものの、構成の違いがまだかなり多く「このエスパーが強い、この赤単(t白)が強い」といった完成リストがないのがTier1に0.5届かないところだと思っています。


それでは続いて黒単のサイドボーディングについて。

これは以前Twitterで論議され、プロの間でも意見が分かれていたように思われます。僕自身ここ2回のGPT静岡で黒単を使った経験を踏まえ、あくまで「個人的」ではありますが意見を書かせていただきます。正解がどうかはまだわかりませんが、GP静岡に向けて答えを出したいのでみなさんも宜しければコメントなどいただけると幸いです。

まずは参考リストですが僕がGPTで使ったものをストライクと大会より引用します。

メイン 60枚
18《沼/Swamp》
2《欺瞞の神殿/Temple of Deceit(TH)》
1《静寂の神殿/Temple of Silence(TH)》
4《変わり谷/Mutavault(M14)》

2《群れネズミ/Pack Rat(RR)》
4《夜帷の死霊/Nightveil Specter(GC)》
4《冒涜の悪魔/Desecration Demon(RR)》
1《死者の神、エレボス/Erebos, God of the Dead(TH)》
4《アスフォデルの灰色商人/Gray Merchant of Asphodel(TH)》

4《思考囲い/Thoughtseize(TH)》
3《究極の価格/Ultimate Price(RR)》
3《肉貪り/Devour Flesh(GC)》
1《破滅の刃/Doom Blade(M14)》
4《地下世界の人脈/Underworld Connections(RR)》
4《英雄の破滅/Hero’s Downfall(TH)》
1《エレボスの鞭/Whip of Erebos(TH)》

サイド
3《強迫/Duress(M14)》
2《闇の裏切り/Dark Betrayal(TH)》
1《真髄の針/Pithing Needle(RR)》
3《破滅の刃/Doom Blade(M14)》
2《群れネズミ/Pack Rat(RR)》
1《肉貪り/Devour Flesh(GC)》
3《生命散らしのゾンビ/Lifebane Zombie(M14)》



1、黒単同系はどういった戦いになるか

正直に言いますと、運の要素はわりと強いです。ヴァラクート同系とは言わないものの、Delver同系のようなプレイングを1つも間違えなければちゃんと勝てるようなものではありません。そもそも選択肢が少なく、初手と序盤の引きがかなり重要です。一度劣勢になってしまうと、まくり返せる要素が少ないことに起因します。

このマッチで最重要なクリーチャーが2種、説明は不要と思いますが《群れネズミ/Pack Rat》と《夜帷の死霊/Nightveil Specter》です(以下「2種」)。全体除去のないこのデッキでは一度増えだしたネズミを止めることはできず、《夜帷の死霊/Nightveil Specter》に至っては「相手に2点ダメージを与えるアリーナ」です。これら2種は対処できなければほぼ負けです。なので初手と序盤の引きにはある程度左右されます。

あとは《地下世界の人脈/Underworld Connections》を貼って、2枚目の2種や《冒涜の悪魔/Desecration Demon》を出しては除去、出しては除去、さらに《アスフォデルの灰色商人/Gray Merchant of Asphodel》でドレインし合うような流れです。


2、サイドボーディングを考える

メインはまだしも、サイド後はほぼ《群れネズミ/Pack Rat》は4枚になります。つまり重要なのは 最序盤です。デッキタイプは黒単コントロールですが、エスパー同系などと違い決着は少しでも傾いたら最後、ものの5分で終わります。

まずは《群れネズミ/Pack Rat》と《夜帷の死霊/Nightveil Specter》に対処できるカードが必要で、これらと除去と《思考囲い/Thoughtseize》はサイドアウトしません。つまりこの次点でサイドアウトできる候補は《冒涜の悪魔/Desecration Demon》か《アスフォデルの灰色商人/Gray Merchant of Asphodel》になります。(あとは1枚差しの細かいカード)

サイドイン確定は《群れネズミ/Pack Rat》と2種を除去できる《闇の裏切り/Dark Betrayal》と《肉貪り/Devour Flesh》。

ここまでは間違いないと思います。意見が分かれるのはここから。


3、より最適なサイドボーディングを考える。

僕が同系でするサイドチェンジは

OUT
4《アスフォデルの灰色商人/Gray Merchant of Asphodel》
1《エレボスの鞭/Whip of Erebos》
1《破滅の刃/Doom Blade》
1《冒涜の悪魔/Desecration Demon》

IN
2《群れネズミ/Pack Rat》
2《闇の裏切り/Dark Betrayal》
2《強迫/Duress》
1《肉貪り/Devour Flesh》

です。順を追って説明します。

まずサイドインから。前述の5枚に加え上記の通り《強迫/Duress》を2枚いれます。最重要な最序盤を制するためのカードです。やりたいことは単純にハンデスで除去を抜いて2種のどちらかを生き残らせるというもの。シンプルですがとても効果です。また、例えばこちらのハンドにその2種がなくとも次の段階である《地下世界の人脈/Underworld Connections》を落とせるのも非常に大きいです。相手の2種をまず除去、こちらには2種がいなく出せずとも、相手の《地下世界の人脈/Underworld Connections》を落としこちらだけという流れに持って行けます。

では何をサイドアウトするか。重ね重ね大事なのは序盤の2種。これを除去できなければあとのハンドが《冒涜の悪魔/Desecration Demon》だろうが《アスフォデルの灰色商人/Gray Merchant of Asphodel》だろうがだいたい負けます。では仮に除去できたとして、次に出てきて困るのは生物は何かと聞かれたら、同じく放置出来ない《冒涜の悪魔/Desecration Demon》だと判断したのでこの優先的に《アスフォデルの灰色商人/Gray Merchant of Asphodel》を抜くサイドチェンジをしています。

お互いに序盤からハンデス、2種、除去の応酬。ハンドはすぐに減りますし、盤面にクリーチャーは残りません。このやり取りの中では《アスフォデルの灰色商人/Gray Merchant of Asphodel》より《冒涜の悪魔/Desecration Demon》の方が勝っている点が多いように思います。盤面にはクリーチャーが残らないため、稼げる信心は《地下世界の人脈/Underworld Connections》のみ(アスフォデル残すと悪魔抜いてるので本当に信心が稼ぎにくい)。2~4点程度しかドレインできないことがほとんどです。(もしそれ以上ドレインできるくらい信心稼げるならアスフォデルでなくても勝っている)

比べて《冒涜の悪魔/Desecration Demon》は同系うんぬんではなくマジック的に6/6飛行はもちろん放置できません。このカードの弱いところはピン除去でテンポ良くさばかれるところですが、序盤から「対処できないと負け」を出して除去し合っているのでその延長戦上のクリーチャーと言えます。「引き続き相手に対処を迫る」という動きができることを評価しています。また《強迫/Duress》と合わせて強いのももちろんです。

あとは細かいところで《冒涜の悪魔/Desecration Demon》は《夜帷の死霊/Nightveil Specter》に対して抵抗できる可能性があること、《アスフォデルの灰色商人/Gray Merchant of Asphodel》は《死者の神、エレボス/Erebos, God of the Dead》によってゲインできない場合があることなどがあげられます。

…頑張って言語化してみましたが、思ったより遥かに難しくてこれ書くのに4時間くらいかかりました(笑

考えてることがこれで全部伝わったかはわかりませんが、何かの参考になればと思います。では。

MTG Cardshop-Nage http://nage.ocnk.net/

コメント

きたじ
2013年11月13日8:31

すごく参考になりました!黒単使って無かったですが、組みたくなってきました。
GPT静岡のセミファイナル後ろで見てましたwトリマリからの逆転は熱かったですね!

Nage
2013年11月14日12:57

>きたじさん

ありがとうございます。単純に強いデッキなのでオススメですよ。
トリマリからの引きが尋常じゃなかったですからね、正直ラッキーでした(笑

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

最新のコメント

この日記について

日記内を検索